Can't Help Falling In Love

舞台の感想とかネタバレ含め色々

2020年1月18日マチネ「阿呆浪士」

「阿呆浪士」  
東京 2020年1月8日(水) ~ 2020年1月24日(金) 新国立劇場 中劇場
大阪 2020年1月31日(金) ~ 2020年2月2日(日) 森ノ宮ピロティホール
 
喜劇の名手、鈴木聡の傑作、
赤穂浪士】ならぬ、【阿呆浪士】。
一介の魚屋「八」が、赤穂浪士として討ち入りを果たすまでを
笑いたっぷり、泪ちょぴりで描く
エンターテインメント時代劇。 

脚本  鈴木聡
演出  ラサール石井
出演  
戸塚祥太A.B.C-Z
 /福田悠太(ふぉ~ゆ~)
 /南沢奈央 伊藤純奈(乃木坂 46) 宮崎秋人 堺小春 八幡みゆき 新良エツ子
 /佐藤誓 おかやまはじめ 松村武
/西海健二郎 おおたけこういち 辻大樹 堀田勝 MAEDA 立川ユカ子 安川里奈 木下桜
 /玉川奈々福竹内都子小倉久寛
※1/12(日)の東京公演及び、大阪公演については、玉川奈々福に代わり真山隼人(浪曲)・沢村さくら(曲師)が代演。 
 
 
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A.B.C-Z戸塚さん主演の舞台。
ジャニーズからはふぉ~ゆ~福田くんも出ています。
あらすじはこちら
 
時は元禄。
とある長屋に住む魚屋の八(はち)は、ある日ひょんな取り違いから赤穂浪士血判状を手にしてしまう。お調子者の八は、長屋小町のお直の気を引きたい一心で、自分が本物の赤穂浪士だ、と嘘をついてしまう。
一方、大石内蔵助は、風車売りに身をやつし、飄々と暮らしている。大石内蔵助の娘・すずは、いつまでも討ち入りを決行しない父に業を煮やして赤穂から江戸に乗りこんで来る。すずは、お調子者の八を利用し、集まってきたニセモノの赤穂浪士たちと討ち入りを決行しようとするが・・・。
 
赤穂浪士は赤穂の殿様に忠臣したが、阿呆浪士は阿呆の神様に忠臣する。
武士道でもない、意地でもない。
ノリよく、楽しく、正直に、あっぱれ散った、花の元禄。
乞御期待、『阿呆浪士』。
 
 
この日は折しも雪模様。
雪が積もるほどは降りませんでしたけれど、そんな日にこの作品を見れたのはちょっとラッキーだったな、と。
戸塚さん単独の舞台を見るのは久しぶりのような感じですが、おそらく「熱海殺人事件」ぶりかな。
……あれ、行ったよね、わたし?(聞くな)
ともかく、題材として赤穂浪士は好きだし戸塚さん&福ちゃんがどんな感じになるのか見てみたかったので行ってきました。
 
お話としては嘘が嘘を呼んで最終的に赤穂浪士として切腹に至るので、単純明快な大団円ではないのですが。
そこまでの過程が本当「阿呆だなあ」という”男って本当馬鹿なんだから”という、奥さんたちの苦笑が見えるようなお話でした。
演出としてはややドタバタ感があり、セットは凝っているのだけどちょっと『ここ』がどこなのかわかりづらい部分もあったかな……
謎の踊るところもあったりして。
でもまあ喜劇っぽいドタバタ感はあったし、語りが面白かったので良かったな、と。
 
戸塚さんの芝居を見ていると、たいてい錦織さん……って気持ちになるんだけど、錦織さんよりも声の通りが気になるかな。
わたしが見たのは幕が開いてから1週間でしたが、戸塚さんはまた声をちょっとやっていたので、もう少しそこは慣れてほしいなと思いました。
あとわーっと喋るからちょっとセリフが聞き取りづらい。そこがもったいないなあと思います。
でも彼の演技って憑依してるでもなく、あれは戸塚さんなんだけど、でも阿呆なお調子者の八さんみもあって、自分を役に染めていくよりは、役を自分色に染めていく感じなのかもなとも思ったりしました。
あと下品だし助平だけど、そこまでやらしくないのは、戸塚さんだからかもしれない。
初演というかラッパ屋さんのを見ていないので、あの八さんがあっているのかは分からないんですけど。
面白ければいいというノリで生きる町人、という役柄を体当たりで演じていた感はありました。
あ、もう一つ、戸塚さんの目力はやっぱりすごい。
 
 
さて一方福田くんは、赤穂浪士の一員だったのに女に惚れてかたき討ちを諦めるという田中貞四郎という役。
真っ直ぐで面白みはない真面目人間で、だからこそ初めて好いた女性を守りたいという気持ちが強い。
台詞も出番もすごく多いわけではないけれど、準主役級の良い役を頂いたなあと。
武士として生きてきたからすぐに町人に馴染めず、でも妻のために、と自分の心を少し誤魔化してかぼちゃ売りをしている姿が、何だか切なかった……
それでも結局赤穂浪士(ではない人もたくさん混じっていたけれど)が敵討ちをして皆が切腹させられるとなった時。
やはり武士の心を捨てきれず自ら切腹をして死を選ぶというのが、突然感はあったかなと思う。
いや、あのとき決断したんじゃなかったのか?
主を失って敵討ちをすることよりも、一人の女性を愛することを選んだはずなのに、最後結局死ぬんかい!っていう。
自分の心に正直になること彼らは『良し』としていて、たとえ阿呆と見られても良いんだっていう心意気が見せ場なのかなと思ったんですけど。
だから貞四郎は何故?という気持ちがありました。
うーんでも、やっぱり武士は武士として死にたいって思っちゃったのかなあ。
ただ、舞台のど真ん中、雪の降る中倒れて瞼を閉じる姿がとても綺麗で、思わず涙ぐんでしまった。
っていうか主役級の死に方で、ちょっとビビったよね。
カテコではいつもの”福ちゃん”でとても安心しました(笑)
福田くんは役に完全に憑依するタイプではなさそうだけど、見ているととても自然体だなあと思うので、戸塚さんと近いタイプの演技者なのかもしれないなと思う。
最近の役は比較的本人たちに寄せた役どころが多いのであれですけど、以前福田くんが青山のDDDで主演をやった「DAY ZERO」の時は、こんな演技するんだ!とびっくりしたので、いろんな可能性を秘めている人だなあと思っています。
 
最近の舞台ではうちわとかペンライトOKなのもあったりして、わたしはそれは邪魔だなと正直思いますが(笑)
でも今回の舞台での使い方がちょっと面白くて、2幕冒頭の戸塚さんの突然の演歌タイムの時にキャーキャーする用でした。
ペンライトはふぉ~ゆ~のふゆパラのを持っていったので、ピンクにしてキャーキャーしました(笑)
ちょっと楽しかったです。
 
 
個人的に、この数日前に自担が退所とグループ解散が発表されたので、行くかどうかをとても迷ったんですけど。
なんかこう、「人生は一度きりなんだから自分の心に正直に素直に生きろよ!」って感じのメッセージが重くてちょこっと辛かった……
でもなんかこう戸塚さんや福田くんを見ると、昔から彼らを見ているからなのか落ち着くというか(笑)
少しホッとした気持ちもあって、楽しく観劇しました。
再演をして欲しいというよりは、皆で「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」さながらあの世でドタバタする話を見てみたいなとも思いました。