Can't Help Falling In Love

舞台の感想とかネタバレ含め色々

2020年1月6日~11日 WBB vol.16 「ミクロワールド・シンフォニア」

2020年1月6日~11日  WBB vol.16 「ミクロワールド・シンフォニア

【原案】小峯裕之
【脚本】佐野瑞樹
【演出】佐野大樹
【振付】OH-SE(電撃チョモランマ隊)
【出演者】
古謝那伊留(関西ジャニーズJr.)
佐野瑞樹/吉澤 翼/松井遥己/空乃みゆ
OH-SE(電撃チョモランマ隊)/和泉宗兵
佐野大樹/高根正樹 北川雄也
秋山大河(MADE/ジャニーズJr.)
【公演スケジュール】2020年1月6日(月)~1月11日(土)
【劇場】紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
 
WBBさんの前作「トラベルモード」中に発表された作品。  
関西ジャニーズJr.の古謝くんが主演の舞台。
悪役として、MADEの秋山大河くんが出演しました。
これが彼のジャニーズ人生最後の作品になってしまったんですけれど……。
そのあたりのことは元のアカウント名義のブログで散々書いたので割愛します。まだ傷は癒えてない……)
 
あらすじはこちら。
 
勤勉で正直者、働きアリのアンドリューには、ある夢があった。
それは、いつか虫たちのエンターテインメントの聖地、“シンシティ”でステージに立つこと。

音楽が栄えるも、荒廃し、街を牛耳るボス“フィクサーG”が支配する、欲望の街“シンシティ”。
そんな中、アンドリュー憧れの劇場は経営がひっ迫し、閉鎖の危機に瀕していた。

「この劇場は、僕が守る――!」

「努力」と「絆」を武器に、“フィクサーG”に立ち向かうアンドリューと仲間たち。
その時代遅れの彼らの武器が、
果たして、“シンシティ”に奇跡を呼ぶのか――?! 
 
アンドリューは前作「ミクロワールド・ファンタジア」の主人公アレックス(松田元太くん)の友人という設定です。
なのでセリフには少しだけ出てくるんですけど、関係性とか何故最後にアレックスが藤崎さんにアンドリューのことを頼んだのか、というのがちょっと曖昧でした。
この関係性はあまり語られていないところなので、絆を強調するのであればもう少しそこは盛り込んでも良いのかなと思いました。
それでいくと、何故藤崎さんはこんなに協力してくれるのかとか、アゲハとフィクサーGは何があったのか、そこに支配人はどう絡んでいたのか?等などもう少し掘り下げられそうなネタはあったんですけど、そのあたりはさらっと終わりました。
まあわたしがそういう裏側の設定とか色々設定は回収してほしくなってしまうので、気にしすぎなのかもしれませんが(笑)
お話的にはあらすじの通りで、分かりやすく最後は努力と絆が勝つんですけど。
街を牛耳っていたフィクサーGにも厳しい締め付けには理由があったということで、完全な悪者はいなくて、後味が悪くないのが良いなと思いました。
ミュージカル程歌を重視しているわけではなく、ただ、音楽を愛している人たちが歌って踊って和解する、というまあわかりやすく楽しい舞台ではありました。
ただ、正直に言えば途中の鬼の部分のアドリブと、メンバー加入のテストシーンのアドリブはちょっとだるかった……。
アンケートにも記載させてもらいましたが、作中に「役者自身」があまり透けて見えるアドリブを入れてくるのは好きじゃないので、佐野(兄)さんの寸劇シーンとか、フィクサーGとの対決シーンもちょっと嫌でした。
そんなのいらないからもっとフィクサーGとアゲハのバチバチ感とか欲しかったな―――。
わたしはアドリブって「その役としておかしくなければ」やっても良いと思うんですけど、本人が透けて見えるのは本当苦手で……。
その世界に入り込ませてくれよ!と思ってしまう。
なので、そこだけはちょっと苦手でした。
 
今回初めて舞台で主役を張った古謝くんですが、最後に泣きながら挨拶してて真っ直ぐだなあと思いました。
演技としてはまだ硬かったり、滑舌が苦手そうだったり、歌はもう少しなのかなという部分はあったのですが、声は割とよく通る大きな声なんだなあと思いました。
本当本人の性格としても真っ直ぐなんだろうなーという部分も出ていて、アンドリュー可愛かったです。
 
佐野(兄)さんの飄々とした藤崎さんは、そのまんま佐野さんって感じだったけど(笑)何かわかんないけどすげーなこの人感あった。
佐野(弟)さんは一体何者なんだと思わなくはなかったんですけど、前作の「トラベルモード」とのギャップが凄かった(笑)
アゲハさんは可愛かったしお歌が素敵だったのと、あと衣装がめっちゃお似合いで素敵だった!
あとグレッグとモーリスも良かったな―。
グレッグは歩き方というか、階段の登り方もぴょんぴょんしてて、キャラクターとして歩いて居たり呼吸したりしているなあと思いました。
カナブンのMr.ブーンと部下二人も良かったな。
特にブーンは流石ダンスがお上手で!間の取り方とかも含めてうまかったな。
全体的にキャラクターは立っているなという印象でした。
 
で、フィクサーGについて。大河くんが最後に演じたキャラクター。
悪役なんだけどどこか憎めなくてとても好きなキャラクターでした。
大河くんが演じた役の中でもかなり好きかもしれない。
(一番彼の表に見えていたキャラ的にあっていたのは、SBの主演ダンサーだった。と、いろいろ思うところあれど、思っています……)
アンドリューやその仲間たちを下に見ながらも、少し羨ましくも思っているような、そんな感じの人。
孤独だけれど部下に見棄てられているわけでもなく、尊敬もされているような人。
本当なんだか悪役なんだけど、憎めなくて好きだったなあ。
個人的にああ好きだなと思ったのが、フィクサーGが客席に背を向けて、アンドリューと話しているシーン。
後ろで組んだ手にぐっと力が入っていくところとか、「音楽を全面解禁とする」と決断する時。
一瞬瞳を伏せて、それからパッと瞳を開けた時に、何かを決意したかのようにものすごく強い瞳で真っ直ぐ先を見ているのが、とてもとても好きでした。
それはフィクサーGの強さだなあと思って、カッコよさだなあと思っていて。
そこが大河くんの演技プランの中での好きなところでした。
あと、アンドリューのダンスにブーンも部下二人も参加してみんなが楽しそうに踊っているシーンで、部下に肩を手をやってそちらに行くのを止めようとするんだけど、かわされて一人でぽつんとステージに佇む姿がとても切なくて、その背中がとても孤独感があって好きでした。
アドリブ振られてもちょっと笑ってしまったりもあったけれど、そこはフィクサーGとしてのトーンで「やりづれえな……」ってかわしたり。
自分のことをGだと言われてもわざと振り返って『なんだ?』って顔をしてみたり……
本当そういう色々考えて、フィクサーGのことを考えて、歩き方や指の動かし方や、視線のやり方でそれを表現する、役を生きる姿が好きだったな……
そうやって過去形にしなきゃいけないのがとても辛いんですけど。本当……。
いやでも、最後にそういう姿を見れたのはとても幸せでした。
出来れば正面ドセンターで見たかったな!(笑)
(今回4回見たんですけど、下手上手で2回ずつ同じ席番号だったのでちょっと面白かったですw)
 
そんな感じで、舞台の感想っていうか、フィクサーGのことでしたね(笑)
古謝くんにはまた頑張ってお芝居続けてほしいし、アンドリューとアレックスの共演も出来れば見てみたいなあと思いました。
その時はフィクサーGは遠くの国で頑張っているという設定にでもしておいてもらえたら、わたしが嬉しいです。