Can't Help Falling In Love

舞台の感想とかネタバレ含め色々

2022年2月12日マチネ 「腹黒弁天町」

※この作品が好きな人お読みにならないようお願いします



期せずして初日になった福田くんと辰己くんの「腹黒弁天町」、2月12日マチネ、観劇してまいりました。
昨年の「BORN 2 DIE」がわたしの中で無し、だったのでちょっと不安になりつつも行ってきました。(理由については省きます)
紀伊國屋ホールはいつぶりかな、割と久しぶりでしたかね。劇場自体は好きですが今日前列座ったら音楽が大きすぎて割れててちょっと疲れてしまいました。
ちなみにトイレは混むので上下階のところでサッと行っておくと楽ですよ。(もちろん書店のお客様にご迷惑をかけるような並び方は駄目ですが)


今回もパルコステージで鈴木さんの脚本でした。戸塚さんと福田くんが出演した阿呆浪士の時もこの方の脚本でしたが、観劇してあんまり笑いどころがわからなくて(わたしがお笑いを好きじゃないからだと思うので、面白くないわけじゃないと思う)戸惑ったし、「登場人物に感情移入が出来ない」ことがわたしとしてはツボではなかったんだけど、今回は果たして、と思ったのですが。
また同じ状況でした……
多分鈴木さんの本と相性悪いんだと思う……(笑)
お好きな方はお好きなんだろうな、すごく笑ってる方がおふたり程いらっしゃった。
でもそれ以上にここで笑う?みたいなところで笑ってる人が多くてビックリしちゃったな……

言い合いをする財前と小雪のシーンは二回ほどででくるんですが。小雪が放った言葉を財前が二幕で同じように言うという活用はお芝居的に良いなって思ったし、「あぁこの二人は結局は似たもの同士なのだな」と気づく台詞であると思うんだけど、そこで笑いが起きてて、何で???と。
他にも小雪が冒頭、財前や山岡に迫る所も笑いが起きてて、それは笑うとこなのか?と思ってしまってからもう……スンッ( ˙꒳​˙ )ってなってしまって……

お話は田舎によくある町の名家と組とが出てきて裏金とか政治とかの匂いをさせつつ、古い慣習の残る学校が出てきて、そこに東京から来た二人の先生が巻き込まれて異なる人生を歩むというもの。

面白いなとおもったのは、この話が「劇中劇」のていであること。老人の語る若き日の物語を芝居に仕立てて見せる、ということが冒頭に語られる。そして最後にはその老人こそが物語に出てくる二人の先生の一人であることが明かされる。
事実は小説より奇なり。
そういうことなんだろう、と思う。

ただどうにも登場する人達に感情移入が出来ない。話の作り上「御芝居を見せている」ので大げさかつドラマチックに華やかに、なのだろうけど、どうもじっくりと内面が語られるでもなく進んでいくので、なんで財前はそこまで小雪を愛したのか、小雪もまた然りでメインであるはずの彼らの恋の話が心に落ちてこなかった。
設定がてんこ盛りなのもあるのかもしれないなーとは思うけど、個人的には感情移入できる作品の方が好きなのでわたしにはあまり合わなかったなーと思う。
話は理解してるし、こういう事なんだろうなーってことも分かってるけど、自分の中でうまく説明がついてないからしっくり来てないようです。

唯一感情移入出来たというか、いいなと思ったのはみちこをやった伊藤純奈さん。彼女たぶん阿呆浪士にも出てたと思うんだけど、その時も良かった。演技が抜群に上手いわけではないかもしれないけど、場の雰囲気の作り方が上手い。
彼女の葛藤やその後の変わりよう、山岡へ告げた「いくとこまでいく」という未来の話の潔さ、彼女には共感できるような気がして良かったな。

それでも役者さんの演技力や熱は素敵だったし、福田くんの演技はトゥーマッチなところもあるけれど、演技をしている彼の熱さとか瞳の輝きがとても好きです。福田くんだけど福田くんでは無い瞬間が見れると、凄く嬉しい。時々福ちゃんだなぁと思うとこもあるけど、個人的には「DAY ZERO」みたいなお役をもっと見てみたいなぁと思っている。
今回のお役はまたもや自害をするお役だったので、それが似合うと(なにかの目的、理想のための死を厭わない強さを感じさせる説得力のある演技ができる)思っていただいているんだと思うのですが……
もっと違うお役も見たいなと思ってしまったのでした。

お芝居はそれぞれ好みがあるので、わたしは合わなかったけど他の誰かは合うかもしれないし、また別の人は嫌いと否定するかもしれない。
感じ方は自由だしそれでどんな感想を言うのも自由。批判をするつもりはないけど、わたしはこういう芝居が苦手になってきたなぁと実感した日でした。
身の回りの環境とか含めて歳を重ねるごとに嗜好や許容出来る範囲って変わってくるので、仕方ないと思うんだけどもう少し気楽にお芝居が見れるといいなと自分でも思うよ……
ちょっとでも苦手だと受け付けなくなってしまうの、心が狭いなーとは思ってます。でも数多ある作品の中でこれだ!というものに出会える可能性があると思うと、やはり観劇は止められないし、役者として大好きな人達もたくさんいるので、これからも決めて掛からず楽しんでいきたいなと思います。