Can't Help Falling In Love

舞台の感想とかネタバレ含め色々

12月6日マチネ「Gem Fragments」

久しぶりのシブゲキ!での観劇でした。友達が観劇できなくなり、代わりにと声をかけてもらった舞台。
舞台刀剣乱舞の南海先生を演じていた三好くんや、五虎退の設楽くん、鯰尾の杉江くんも出ていて興味もあったので譲ってもらい行ってきました。
 
「Gem Fragments」
公演日程:2020年12月2日(水)~12月6日(日)全9公演
会場:CBGKシブゲキ!! 
出演者:エメロード:杉江大志/ボヌール:三好大貴/コンソラトゥール:設楽銀河/
    サジェス:大海将一郎/パシアンス:田口涼/シェバリィ:杉江優篤

    ヴィクトー:日向大輔/テオ:蜂谷匠平/ラザール:松嶋創
    アンサンブル:岩崎悠雅/古笹原大和/鈴木政宗/中土井俊允/山下晃季

 
あらすじ ※公式サイトより引用
昔、未知の侵略者に襲われた人々は、
Psy能力と呼ばれた特殊能力を発現させた少年たちを崇め、
自分たちを守る存在として敬っていた。

しかし、時は流れ、
平和を取り戻したその星は、
いつしか Psy 能力を持つ者を
自分たちを脅かす異端として忌み嫌い、恐れ始めた。

能力を持つ少年たちは、
森の奥、またその奥へと追いやられるように、
人目を逃れ、ヌーヴェル・リュミエール学院と呼ばれる学校で
ひっそりと暮らすようになる。

ある日、学院内の噂で、
町でフェスティバルがあることを聞きつけた少年たちは、
固く閉ざしていた未知の扉を開け、外の世界へ飛び出していく。

―いま、未来への扉が開かれる。
 
 
Psy能力のある子供たちが主人公の学園ものですね。
世界を救ったはずの”能力者”が迫害されるに至り、森の奥深く寄宿学校のようなところで生活をしているという設定で制服や挨拶の感じも含めてどこか寄宿学校……ギムナジウム的な印象を受ける雰囲気。
制服の着方も様々で、タイの色や靴も違う。(個人的にボヌールが白と黒のウィングチップ履いててものすごくときめいた)
迫害されてそこに来た者もいれば、両親も能力者?なのか普通に入ってきた子もいるような感じでした。
能力者同士の子供は能力者であることが多く、まれに突然変異で能力者が生まれることもあるらしいので、ハ〇ポタの設定と同じ感じですかね。
閉ざされた扉の外には、楽しいことも悲しいこともあるけど、未来につながる扉は開かないと前には進めない、的な展開です。
簡単には能力を認めてもらえないけれど、信じてくれる人もいる。外の世界には良いこともたくさんある、という少し残酷なところもある美しい世界の話でした。
 
両親はどうしてるのかなとか、能力者だけの街があるのか?とか色んな想像が生まれたけど今回は1時間45分であの世界観に興味を持ってもらう、のがおそらく先決なのかなと思うシーンがちらほら。
メインキャストの魅力をまずは知ってもらわないと次に進めないという感じでしょうか。
なのでそれぞれの心情吐露のシーンがあり、見せ場がある感じでした。
特にキャストの最初に名前の挙がる3人は能力のシーンや出番も多く、またパシアンスやサジェスとは違い、過去がほぼ語られていないので、次はそのあたりが明らかになるのかな、と。
先生も謎の言葉を残したり、ボヌールのラストシーンは意味深すぎて。
そういった伏線がいくつかありつつも、”まずは序章”ということで、世界観を見せるための演出はきちんとされていたと思います。
 
わたしは空想組曲のほさかようさんの演出を何度か見ているのですが。
ご本人もパンフレットでちらりと書かれていましたが、「ただ奇麗なだけの美しさ」じゃないところがなんだか惹かれます。
彼の「小さなお茶会」が好きだったのですが、その時の別垢でのメモ。

asami0331.hatenadiary.com

お話見ていないとなんだかわからない感想メモですが、なんかこうこうやってぐるぐる考えさせるようなお話を作る人だなとわたしの中では思っていたので。
その点でも楽しみにしていました。
実際、原案は別の方なのであれですが細かい演出はほさかさんの手が入っていて、やはり「一筋縄じゃ行かない感じ」が見え隠れしていたように思いました。
ただきれいごとばかりの世界ではなくて、憎悪や嫌悪、絶望の上に成り立つ幸せという美しさ、みたいなのがあって。
そういうメリハリみたいなところが良く出ていたのが、ボヌールやサジェスかなと個人的には思います。
ビジュアル的な美しさというよりも、思想とか概念とか色々含めた美しさみたいなもの。
話は王道かもしれないけれど、何か心を打つシーンがあったのは当然原作原案あってこそですが、演出の妙もあると思うので、ほさかさん演出が久しぶりに見れてよかったなと思いました。
 
演技面でいえば個人的にはボヌールの三好くんがとても印象が良かったです。
少し離れたところからではあるけれど、しっかり全体を見ていてなんとなく影のリーダーというかまとめ役っぽいのかなという雰囲気で。
口調や歩き方も相手が誰かによってうまく使い分けているような感じでした。
ポケットに手を突っ込んでいるところも、階段をひょいっと降りるところも、フィスティバルでお辞儀をするところも、ひょうひょうとした雰囲気がしっかり出ていて、なんとなく「軽そう」というキャラクター設定を見せながらも、サジェスを助けるシーンではちゃんと向き合って内面を出してくれる熱い感じがあって……心惹かれるキャラクターでした。
そのサジェスの大海くんは初めましての役者さんですが、「許され」た前後の演技のメリハリがしっかりしていて良かったなと思います。
 
少しもったいなかったなと思うのは、やはり1時間45分という時間かなと思います。
CDも予定されているしこれからのコンテンツだと思うので、今後につなげるためには、この時間で世界観と初めましての自己紹介が必須。
それを考えると多少の物足りなさや説明の不十分さはやむなし、かなと感じました。
それでも時間いっぱい使って彼らの魅力を語りつつ、伏線はしっかり残していったので、少しでもキャラクターを気に入った人は「次も見たい」ってなるだろうなと思います。
ボヌールにしっかりハマってしまったわたしはちょっと次も見たいなってなりました(笑)
舞台として成功というよりも、コンテンツとして魅力はあると思ったので(乙女向けゲーム路線)戦略としてはうまくいっているのではないでしょうか。
 
わたしの中の舞台の満足度は、基本続き物ではなくその1本で十分に満足できるかどうかという点と、前提などを踏まえなくても楽しめるものかどうか、という点に尽きるので。
今回については満足度は少し低めです。
全体の演技力・引き込む力という部分でももう少し欲しかったな……とは思います。
とはいえ、やはり配信ではなく生の舞台というのは役者の息遣いを感じられてとても良かったし、素晴らしく楽しいものだなと改めて感じました。
舞台の配信が苦手なのですが、単純に家などで配信を見ると世界観に浸れずに感情移入が出来ず集中できないというのもありますが、「見たいところを見る」が出来ないので、ストレスなんだと思います。
どうしても配信だとメインの演者に寄ってしまったりして、端のほうで演技する姿があまり映りません。
主人公がこのセリフを言っているときに周りの人はどんな表情で見ているのか?とか、さりげない仕草や表情を見るのが好きなので最初から「ここを見て」と言われる舞台配信は苦手なんだろうな。
とはいえ、映画はそうは思わないので、舞台というコンテンツの時はこう見たい、という自分の中の思いがあるからなのかもしれません。
……ちょっと脱線しました。
 
そういえば、音楽がとても良かったですね。
バロック風の、”寄宿学校””孤独を感じる少年たち””どこか現世と違う雰囲気”を醸し出す、どことなく「ポーの一族が似合いそうな感じのメインテーマ。
これにチェロかもしくはヴィオラの音色が入っているのが良かったなあ。
つらいシーンなどの激しい曲の時は銅鑼のような攻め立てるような音もしていて、スピーカーに近かったこともありますが、ドキドキしました。
一番好きだったのは、開演前の小鳥のさえずりです(笑)
思わず眠たくなってしまうような、穏やかな音で、これから始まる物語が「幸せそう」であることを意識づけられているような気がしました。(実際は単なる幸せは彼らに巡ってくるわけではないんだけども)
BGMが素敵な作品は良いですよね。
 
劇場は割とどの席からも見やすくて割と好きな劇場なんですけど(数年前はよくここで推しの舞台があった)課題は帰りのエレベーターがめっちゃ混むってことですかね。
まあ6階なので階段で降りてもさほどかかりませんので、階段をお勧めします。
博品館劇場も同様に、あそこは階段で降りたほうが早く帰れますよね。
そうそう今回で初めてのフェイスシールドを体験しましたが、泣きそうになっても目を押さえられないのが困りますね……
あとわたしは目が乾きやすいので無意識に目をこすりがちなんですが、何度かフェイスシールドあるのにこすろうとして失敗しました。
うーん難しい。
 
しかしこちらの作品は配信もあったので、お友達も見ることはできていたと思うけれど、やはり生で見るのとは違うだろうし。
ほんっと早く収束してほしいなと思います。567。