Can't Help Falling In Love

舞台の感想とかネタバレ含め色々

2020年7月25日ソワレ「科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』改変 いくさ夜の徒花の記憶」

2月末から舞台も中止が続き、久しぶりの舞台観劇は、現在わたしが絶好調にはまっている刀剣乱舞の舞台でした。
1月に「維伝」で初めて刀剣乱舞の舞台を知ったわたしでしたが、5月にDMMさんでの一挙無料配信、6月末・7月と日テレ+でも一挙放送があり、すっかり舞台版の刀剣乱舞の魅力にはまっています。
刀剣乱舞」というものは元々細々とゲームはしていたものの、舞台にもミュージカルにもなかなか手を伸ばすチャンスがなく。維伝で推しの俳優(龍馬役の岡田さん)が出演するとなり、見に行ってその世界に引き込まれました。
あの世界のなにが心を打つのか、というのは一言では言い表すのは難しいのですが、一気にはまってしまい気付けば中でも心に残った悲伝と慈伝のDVDを購入してしまいました。(維伝は既に持っています)

さて、そんなことは置いておいて今回の舞台は「科白劇(かはくげき)」という新しいものでした。新型コロナウィルスの影響によりソーシャルディスタンスを守らねばならず、劇場でも対策をしっかりとらなくてはならないし、客席も通常の半分、演出も制限される中で一体どんな舞台になるのだろう、とワクワクしていました。

25日夕方、小雨の降る中品川駅について、品川ステラボール方面へ。品川プリンスの横のアクアパークの中にあります。映画館と同じ入口です。よく考えたら初めてでしたね、この劇場(でいいのか?)に入るの。
入るまでも一定の距離を保つように指示され、スタッフさんは雨の中もレインコートにフェイスガードをしてマスクをして立っていらして、本当に感謝しかありません。
中に入っても足元にテープで線が書かれていて、2列で並んで手をアルコール消毒して、それから靴の裏をアルコール消毒して検温。チケットは紙の人は見せてから自分でちぎって箱に入れます。
グッズはパンフレットのみ。4か所くらいレジがありカードも使えました。ここにもビニールカーテンが付けられていました。ささっと購入して席へ。わたしは唯一とれたのが2階席だったのですぐ横の階段で2階に上がりました。16:50くらいには中に入ったのですが、トイレがらがらだった…。めっちゃ空いてた。
席は1個ずつ開けてあって、テープで座らないように留められていました。席番は見やすいように紙に書かれて再度貼られていました。ちなみに2階に上がった所にもアルコールが設置されていました。安心だね!
このご時世、床に荷物を置きたくないと思うので何かビニールシートの小さいのとか持って行った方が良いかもしれないです。わたしはトートバックで行ったのですが、抱えて見るには邪魔だったので、100円ショップで売ってるビニール製の巾着バック(子供がよくプール行く時に使ってるようなやつ)を持って行って、仕舞いました。

さて、早めに入ったのでぼんやりパンフレットを見たり、先に見た友人にLINEを送りつつ場内を見ているとあっという間に17:30、講談師の方が舞台上の下手の座布団の上にあがります。
科白劇の説明やマスクをしながらの舞台になることを説明してくれ、次第に舞台の世界に入っていきます。基本的にはト書きのような説明を講談師が行いながら、刀剣男子は台詞や殺陣をソーシャルディスタンスを保ちつつ舞台を進めていく形です。
ちなみに、講談師は特殊な「刀装」だそうで(笑)滔々と語りながらも、刀剣男子とも会話を行うのが面白い。

話は慶長熊本。熊本城の特命調査後、他の本丸の報告書を参考に見ていると「同じところもあるが、違うところもある」と皆で読み解いていく話です。
どうやら、今回の舞台で描かれている話は、刀ステの本丸とは違う「別の本丸」の記録のようです。時々本来の刀ステ本丸(以後、本丸表記)の刀剣男子が報告書片手に「ちょっと違うね」と読んでいく描写が入ります。その辺りが1回見ただけでは少し曖昧ですが境目が分かりにくく、これが本丸のことなのか、別の本丸の話なのか一瞬分からなくなります。(それが狙いなのかもしれないですが)
許されたいガラシャガラシャを殺したい忠興、ガラシャを盟主と仰ぎ守る死んだはずのキリシタン大名……刀剣男子と戦うというよりも、ただ守りたかったという印象の今回の戦い。最終的にはガラシャは愛しているからこそ他の誰かではなく忠興に殺されたかったのであり、忠興は愛しているがゆえに自らの手で殺せなかった。そしてガラシャは忠興の刀である『鬼』こと歌仙兼定に斬られることを望み、散っていく。
作中に出てくる「鬼の嫁なら蛇のような女がお似合いでしょう」という会話や、ガラシャを見た庭師を殺した忠興については、一応歴史で残っているものと同じかと思います。細川夫婦については本当に愛し合っていたのか、憎しみあっていたのかはわかりませんが、今回の別本丸の二人はすれ違い互いの願いを叶えられずに死んでいった、という印象です。
そこがまた切ないというか、不器用というか、そういう世だったのかなあとか。

一応この熊本の特命調査は決着がつき、再び本丸。
最後にもう一度報告書を読み解こう、と長義が歌仙を隊長と呼ぶ。(歌仙部隊は第3部隊の模様)歌仙はそれに任務があるからと答えほかのみんなは去っていく。その後、歌仙は主へ「特命調査の話をしてくれって?主が2020年で起きていることを解決しろと言ったんじゃないか。帰ってきたら僕たちの特命調査を聞かせてあげるよ」(ニュアンス)と歌仙は微笑み、去っていく。
この台詞は主にというよりも、見ているお客様の方に言ってくれているのからなあと思います。この状況が落ち着いたら、きっと本当の綺伝が見せてくれるんだろうな、と期待させるような意味深な言葉でしたので、その日を待ちたいと思います。


と、まあ大枠は熊本城特命調査の補足というか、何故姉上と地蔵が呼ぶのか、どうしてあんな風に現れたのかなどが描かれ、その裏にあった細川忠興ガラシャの愛の話、ではあると思うのですが。幾つかの疑問というか、もやもや残る部分が当然ながらあるわけです。

熊本城城下に行った時に本丸の歌仙が出てきてこの時は「僕たちの時と同じだ」と言う。そして読み進め、細川忠興と城下で逢った時(シーン)でも「同じだ」と言う。
しかし忠興が高山右近獅子王・篭手切江の前に現れた時、獅子王が「ちょっと違うな」と言っている。後いくつかあったのですが、メモ解読したら書き足します。

あと、既にこの世界のキリシタン大名たちは彼らが刀剣男子だという事を知っている。そして彼らは獅子王の連れている鵺と同じような「混ざったもの」という話が2回ほど出てくる。これは最後まで解決はしなくて、維伝の時の「朧」ともまた少し違うようなニュアンスで、かといって時間遡行軍とも異なるようで。本来の綺伝ではその辺りは少し語れらるのだろうか……と謎が残ってしまった。

黒田孝高が何度も「今」を繰り返していることを告げるシーンがある。ただし、それはループ(円環)ではなくなぞっている、という表現だった。同じ線の上を何度もなぞる。何度もなぞることにより、少しずつ線の太さは変わり、前回と「同じ」ではないところが増えていくということなのかな?濃くなる部分もあれば、かすれていく部分もある。そうして蓄積されていく記憶を持って、黒田孝高は何かを考えている、と思う。

あと「濁っている」とも言っていたので、この世界線はifのひとつなんだなぁと言う印象。

別本丸の話の最中に語られる「小烏丸が文久土佐で違和感を感じていたこと」や「黒田官兵衛と山姥切国広が戦ったこと」「へし切長谷部に聞いてみよう」などの言葉から、この別本丸も本丸も同じような歴史をたどっていることが推測されます。
しかし維伝のパンフレットの順番だと、慈伝の後に消された何かがあり、その後に維伝が来ています。おそらくそこが今回やるはずだった本丸の「綺伝」だと思われるので、そうなると、別本丸と本丸の歴史軸は慈伝以降で少し異なるのでは?という憶測が立ちます。本丸は慈伝→綺伝→維伝、別本丸は慈伝→維伝→綺伝(仮)となるのでは?と、浅はかにも考えましたが、そこは大したことではないのかもしれないし、すえみつさんだから大したことあるのかもしれないし(笑)
刀ステ履修しはじめて浅いので皆様の様に世界線について深く語ることは出来ないのですが、奥が深いぜ……となりました。

とりあえず細かなところは千秋楽の配信を見つつまとめようかなぁと思います。キャストについても簡単に。

歌仙さん。刀ステを一気に見たので、一番馴染み深いというか親しみのある人。移動する時のタタタタって感じと、裾を少しつまんでいる所が可愛いなぁって思います。意外と男らしい殺陣も好き。
長義くん。ちょぎ。刀ステ初登場があの慈伝なのであれから成長したなぁ…。とりあえず椅子に座って足組むとこの演出考えた人天才。最高。
地蔵くん。白タイツ。ガラシャ様に翻弄されているのが可愛い。弟にしたい。
古今伝授。太腿…(そこ)みつあみが可愛い。得体がしれない……
獅子王くん。元気で笑顔が可愛くて。とても獅子王でしたね。あと獅子王の小烏丸のマネが面白かった(笑)
にっかりさん。まだ二十歳そこそこだと聞いてびっくり。癖のあるキャラクターですが、ちょっとつかみどころの無い感じが似合っていました。
亀甲さん。放置プレイの人(笑)まだあまり掴めてない…うちの本丸でも育ててないので今度ちゃんと育てます。
篭手切江くん。まだ手に入れていない子なのでどんな子か分からないけれど、すていじに立とうとしてる子だよね。衣装が可愛いなーって思ってみてた(笑)

歴史上の人物たちは今回キリシタン大名ということで「ドン・●●」と呼び合うので、いったい誰が誰なのか良く分からなくなりますが、そこまで影響はなかったです。というか意図的にそうしていのかもしれない。あえて小西とか高山とかの大名の印象付けをしないことが、混ざってるかんじだったのかも。
唯一肝となるのは黒田孝高。彼は前述していますが、これが何度目かのループであり、その度に違う刀剣男子が来て戦うことを知っている。そして別の時間軸の黒田官兵衛の記憶も持っている。本来の綺伝でここが少しは明かされるんですかね…。

そして、キャスト陣の目玉は今回はやはり刀ステ初の女性キャストである細川ガラシャ役、七海ひろきさんでしょうか。実はこの方わたしの友人の贔屓でして、宝塚退団後のご活躍も耳にしたり目にしたりコラボカフェにお邪魔したりと知っているお方でしたので、とんでもなく驚いた、と同時に「今回のガラシャ様男前になりそうだな…」と思っていました。
いやもうだってひろきさんのLINE登録してみてほしいんですけど、この人凄いから。わりと殺しに来るから……毎度男前すぎてしんどい。なのに突然スタイリッシュ体操とかやってくるから良く分からない……。

で。歴史上の人物として知っているガラシャは美しく強く、というイメージでした。己を蛇と例えた逸話からもですしあの明智の家系ですし。ひろきさんのガラシャ様はこれまた強そうでイケメンなガラシャ様になりそうだなと思ってましたが、でも公開されたビジュアルは美しい女性!という感じで(当たり前だけど)強そうというのとは違うのかなぁと思ったら、ある意味想定通りだけど、いやでもあの中で最強じゃね?な強いガラシャ様が後半降臨されてどうしたらいいか分からなくなりました。

いやだって!ずっとあのビジュアルかと思ってたらさ!オスカル様来たよ!!!??

白髪カールロングで蛇革のロングコートにブーツって……もうなんか白いけどあれはオスカル様だった……カテコの時はわたしにはガラシャ様の背中に羽根が見えたよ……

地蔵くんをからかってはくすくすと笑ったりする意地悪な感じと、細川と相対した時の憎しみと愛しさの混じった感情の爆発と、導く立場であれと願っていた強いリーダーとしての顔と……なんか色んなガラシャ様が見れてとても良かったし、七海さんがガラシャ様で良かったなぁと。

旦那との愛は深いのでこのあたりもちゃんと掘り下げて書きたいところ。

 

 

とりあえず刀ステはちゃんと対策取られてたし出来ることを見せてくれて、すごいなと思いました。大演練も中止になっちゃったけど、その対応も素晴らしく、これからも推していこうと思います。